授業の目的

社会調査とは,社会で観測できるデータの収集や分析を通じて,データの背後にあるものを探り当てながら,社会を探求することである.この授業では,実際のデータをコンピュータで分析しながら,調査で用いられるさまざまな分析手法を体系的に学ぶとともに,調査を正確かつ効率良く実施するための基本的な知識を身につける.実データから新たな知見を獲得し,社会を構成する個人や法人のために役立てられるようになる.

到達目標

  • データに基づいて市場を把握できる
  • データに基づいて売れる商品を企画できる
  • データに基づいてお客様を理解して寄り添える
  • データの背後にあるものを探れる
  • データから知見を獲得し,根拠をもって役立つ提案ができる

授業の概要

個人や法人が商品の開発や生産を行う際に,市場やお客様という買い手の立場に立って買い手が必要とするものを提供していくマーケットインと,作り手の理論や計画を優先させるプロダクトアウトという考え方がある.マーケットインの方がお客様のニーズに合うため,売り上げを予測しやすく,商品開発のリスクや期間を抑えらるというメリットはあるが,大ヒットに繋がるようなユニークな商品は生まれづらく,競合に大きく差をつけることが難しいというデメリットがある.一方,プロダクトアウトは,誰も思いつかなかった大ヒット商品に繋がるメリットはあるが,お客様が潜在的に欲している商品でなければ殆ど売れずに大きな損失を被るデメリットがある.

両者は状況に合わせて上手く使う必要があるため,まずマーケットインの立場で良く用いられる,市場や商品に関する基本的な分析手法を学び,次にプロダクトアウトの立場でも良く用いられる,お客様を理解する分析や,お客様の満足度や忠誠度などの直接観測できない潜在的な分析手法を学ぶことにする.理解を深めると共に使いこなす力を伸ばすためにコンピュータによる実習をメインとするが,知見を正確かつ少ない労力で得られるようにするため,調査の基本的な知識も実習の合間で学べるようにする.この授業で学んだ分析手法と知識を駆使して,学生自身が実データから新たな知見を獲得し,その知見の内容,根拠,誰にとってどのように役立つのかを報告する.