こんにちは,サイバーフィジカルシステム研究室の学部4年生で,今年度卒業を迎えるミウです.
研究室に配属されてから早一年半.時の流れの早さに驚くばかりです.研究室配属がつい昨日のことのように感じてしまいますが,振り返ってみるとたくさんの思い出でいっぱいでした.楽しかったことや面白かったことだけではなく,苦しいくらい頑張ったことや葛藤したことなど,多くの感情で埋め尽くされた一年半だったと思います.今回は,卒業する前に,私がこの思い出いっぱいの研究室で感じてきたことや学んだことを書き残そうと思います.
研究室生活のはじまり
3年生の7月に研究室配属が決まり,同期は私を含めて5人で,個性の強いメンバーが集まりました.この研究室配属は,私にとって大きな分岐点でした.なぜならば,自分が進む道を,自分で考えて選択しなければならなかったからです.また,私にとっての『進むべき道』のような模範回答がなかったことも,分岐点になった理由の一つでした.
これまでの学生生活では,無意識のうちに一般的な正解の道を選択して生きてきた気がします.しかし,研究室選びにおいては正解の道が見えませんでした.当時はやりたいことが明確に決まっておらず,どのような軸で研究室を選べば良いかわからなかったからです.興味がある研究室に訪問し,すでに志望を決めた友人に理由を聞いて回りましたが,考えれば考えるほど,自分にとっての正解が分からなくなっていきました.そして,研究室希望の締め切り間際,最後の最後で決断した決め手は,先生や先輩の雰囲気と直感的な居心地の良さでした.周りの意見や世間体に従うのではなく,自分の意思で決断し,その選択に責任を持つという経験が,これまでの自分にはなかった覚悟を与えてくれた気がします.

この研究室配属期間の葛藤から,人生の分岐点に立った時は,気が済むまで悩んだ方が良いということを学びました.一般的な正解に囚われるのではなく,自分で考えて……悩み切って……自分にとっての道を選択することが,結果的に後悔のない選択につながると思います.
第一関門
研究室に配属されて「やっとひと段落ついた!」と安心したのも束の間.私たち学部3年生には,自分の研究テーマを決めるという大きな関門がありました.
私の研究テーマは「購買履歴と画像認識による残り物レシピ推薦の研究」です.この研究は,残り物の食材の情報を取得して,その食材を用いて好みや気分に合わせた献立・レシピを提案するという内容です.この研究を通して,料理を作る人と食べる人の両方に充実した食体験を提供し,ウェルビーイング(身体的,精神的,社会的に良好で満たされた状態)を目指します.
この研究テーマを決めるまでには,4人の同期や先生,先輩方といった多くの山口研メンバーの支えがありました.山口研では,研究テーマは学生に全て委ねられているので,自分がどんな研究をしたいかをゼロから考えなければなりません.自由度が高い分,選択肢があり過ぎて何度も行き詰まり,くじけそうになることが多々ありました.それでも折れずに最後までやり切り,研究テーマを形にできたのは,同期4人が同じように頑張っている姿や,先生と先輩方のサポートがあったからです.苦しい時に支えてくれるメンバーがいることのありがたみを肌で感じ,心の底からこのメンバーを大切にしたいと思いました.

この研究テーマの決定から,自分が困っている時は,勇気を出して周りの人を頼って良いということを学びました.誰かに助けを求められたら「自分がしてもらった時のように全力で支えよう」と心に決めることができた,大切な第一関門でした.
最大の分岐点
研究テーマも無事に決まり,今度こそ「やっとひと一息つけるぞ!」と安心していたのですが,ここでもまた大きな分岐点に差し掛かりました.それは自分の進路についてです.
大学院進学か,就職か.この2択を迫られ,おそらく人生で一番悩み,苦しんだと思います.信頼できる方や友人に相談しても,院進と就職のどちらの意見にも納得できてしまって,何が正解かわからなくなったからです.最終的に,私は就職の道を選びました.この決断に背中を押したのは,山口先生の「もし,大学院に行きたくなったらいつでも戻っておいで」という言葉でした.どちらが正解の道なのかを必死に考えていた私は,この言葉に救われました.ずっと,人生の失敗を恐れて正しい道を選ぶことに固執してしまい,自分の気持ちに蓋をしていたからです.しかし,先生の言葉のおかげで,肩の力を抜いて自分の心と向き合うことができました.


この進路選択から,周りの人の意見を参考にすることも大事だけれど,それ以上に,自分自身の考えや気持ちと向き合うべきであることを学びました.正しい道を選ぶことに固執するのではなく,自分で選んだ道を正解にしていくことが大切だと思います.
目標への挑戦
就職の道を選んだことで,私には新たな目標ができました.それは基本情報技術者の資格取得です.私が就職するシンクタンクでは,入社一年目にこの資格取得を求められます.そこで時間に余裕がある学生のうちに挑戦しようと思い,在学中の合格を目標にして学習を始めました.
自分が楽しいと思える分野だったので,最初は前向きな気持ちで学習に取り組むことができました.しかし,一通り学習を終えて過去問を解き始めたところ,所々知識が抜け落ちていたり,正答率がなかなか上がらなかったりして,焦りと不安から「もうやめてしまいたい」と何度も挫けそうになりました.それでも投げ出さずに継続できたのは,世界へ飛び立とうと国際学会での発表準備を進めている先輩や,院進に備えて熱心に研究に取り組んでいる同期が側にいたからです.それぞれ目標は違えど,何かを達成するために努力している仲間がいるという環境が,私にとっての心の支えでした.
資格試験の結果ですが,なんとか無事に合格することができました.合格の賞状を受け取った時,努力が実って心の底から嬉しいと感じました.そう思えたのは「毎日欠かさず勉強を続けてきて,自分の力で勝ち取った」という自信と誇りがあったからです.

この資格取得の挑戦から,思うように結果が出なくて辞めてしまいたいと思った時こそ,そこで投げ出さずにやり続けることが一番大事だと学びました.目に見える結果がすぐに出なかったとしても,その過程で確実に成長しているし,心も強くなっていると思います.
研究室生活を終えて
ここまで書いてきたことは,研究室生活のほんの一部の出来事です.振り返ってみると,本当に山あり谷ありの一年半でした.楽しいことばかりではなく,辛くて逃げ出したくなるような時期もありました.それでも今,卒業を目前にして,この研究室を選んで本当に良かったと思います.それは,数々の経験を経て「強く成長したぞ!」と,あの日悩み抜いて決断した過去の自分に,胸を張って言えるからです.
これから先の人生でも,きっと分岐と選択の連続が待っていると思います.その度に,同じようにひたすら考えて悩むことでしょう.しかし,今の私はずいぶん強くなりました.もし分岐点に立ったとしても,以前のように八方塞がりになることはありません.なぜならば,どの道を選ぶか以上に,選んだ後にどう生きるかが大切だと知っているからです.選択した時の自分を肯定してあげられるように,そして後悔しないように,選択した後の人生を精一杯生きていくこと.これが,研究室生活を通して学んだ,私なりの答えです.
たくさん面倒を見てくださった先輩方と,一緒に楽しい時間を過ごしてくれた後輩たち.迷った時にいつも背中を押してくださった山口先生.そして,山も谷も一緒に乗り越えてくれた最高の同期たち.このメンバーのおかげで,不思議なくらい素敵な研究室生活を過ごすことができました.ここで得た経験と,選んだ道を正解にするという学びを胸に刻んで,新しい環境でもこれまでと同じように頑張っていこうと思います.

Comments are closed